2018.11.06はちみつの小話
岩手県の小さな町で生まれた信念のはちみつ~「巣鴨養蜂園」さんの桜と栗薫る2種のはちみつを11/15よりお届けします~
目に染みるような紅葉のグラデーションが美しい季節ですね。1年ごしの新商品のお知らせです。岩手県西和賀町産「桜薫る百花蜜」と「栗薫る百花蜜」2種の絶品はちみつを、11/15(木)よりお届け開始いたします!「桜薫る百花蜜🌸」は、ソメイヨシノや山桜など、華やかな春の花々の香り。ダージリンとの相性が良いです。「栗薫る百花蜜🌰」は、こっくり和菓子のような初夏の花々の風味。濃いほうじ茶や緑茶によく合います。詳細は、追って商品ページにてご紹介いたしますので、お楽しみに♪
さて、ずっと、ある素敵な養蜂家さん親子との出会いについて、お話したいと思っていました。そしてやっと、そのお2人が丁寧に丁寧に作ったはちみつをご紹介できる日が来て、心から嬉しく思っています。
最初に「巣鴨養蜂園」さんのお名前を耳にしたのは、昨年の初夏に参加した、ある展示会でした。当時ハニープラントは、はちみつ屋さんを始めたばかり。すべてが手探りでしたが、「日本の本物のはちみつの素晴らしさと、ミツバチ、自然環境のことを、たくさんの人に伝えたい」という信念は今と変わりなく、日本各地の風土に根ざした美味しくて安心で、生産者さんの思いのこもったはちみつを探していたのです。岩手県西和賀町の(岩手県の山間部にある積雪量県内一、人口約6,000 人の小さな町)ブースに立ち寄り、優しい味の甘酒アイスをいただきながら「最高のはちみつを作っている親子、いますよ!」と高橋正利さん、米田望さん(娘さん)親子のお名前を伺ったときには、宝物を見つけた子どものような目をしていたと思います。
それから数か月後、東京で販売活動を一手に担っておられる望さんに会いに行きました。美しく聡明な望さんが、初めてお会いしたとは思えないくらい自然体で迎えてくださり、お父様のつくるはちみつに対する思いを熱っぽく語ってくださったのを、昨日のことのように思い出します。「いつかきっと、一緒にお仕事しましょうね。」と約束しました。(親子で作業されている時のお写真をいただきました。お2人とも本当に生き生きとしていますね!)
2018年8月、信州の短い夏休みが終わりに近づいた頃、私たちは家族で岩手県西和賀町に向かいました。仙台を抜け、中尊寺金色堂に立ち寄り、往復10時間以上のドライブ、1泊2日の旅。標識に高橋さんの暮らす「湯田」の文字を見つけた時の胸の高まり!迫りくる山の濃い緑と錦秋湖の美しさに心奪われ、思わずため息がでました。
今回の主役、高橋正利さんは、東京消防庁に勤務されていた十数年前に「銀座ミツバチプロジェクト」の1期生として養蜂を学ばれ、早期退職後の2014年、生まれ育った自然豊かな岩手県西和賀町で、巣鴨養蜂園を起ち上げられたそうです。サラリーマンから養蜂家へ…そう、ハニープラントの代表雨宮の生き方の大先輩です!
白い作業着に身を包んだすらっとダンディかつ清潔感に溢れた高橋さんの姿は、多くの人が持つ「養蜂家」のイメージを覆します。几帳面でまじめで、細やかな人となりの感じられる笑顔で、私たちを迎えてくださいました。
高橋さんにお会いする時には、必ず聞きたいと思っていたことがあります。東京で娘の望さんが何度も口にされていた「他にはないほどに、質の高さにこだわった妥協しないはちみつ」って…?その答えは、美しいほどに整然とした高橋さんの作業場にありました。
ここから、ちょっとだけ難しい、でも大切なお話を。
巣鴨養蜂園さんの限りなく純度の高いはちみつの秘密は、「隔王板(かくおうばん)」。(隔王板:専用の板で巣箱を上下に仕切り、体の大きい女王蜂が上の箱に移動することを妨げることで、上の蜜採りゾーンと下の子育てゾーンに分けます。これにより、卵やさなぎ、蜂の子などが混ざらない純粋なはちみつを貯めることができるのです。)もちろん、とても贅沢な仕組みで、採れる蜜の量も少なくなってしまいますが、高橋さんが量より質を重視した結果、行きついた手法なのです。はちみつを口にする人々に対する配慮、自然とミツバチの恩恵に対する感謝の念を感じますね。
はちみつの鮮度と不純物の除去に極限までこだわる高橋さんは、はちみつを搾る作業を屋内で行います。巨大!な遠心分離機(私たちも、こんなに大きな遠心分離機は、初めて見ました!)や、あらゆる養蜂に関わる用具を完備した、広い専用作業場の中。無駄なく美しく並ぶロープを見て、「さすが!」と叫んでしまったほどに、整理整頓の行き届いている気持ちのよい空間です。
贅沢なお話がもう1つ。貯蜜枠を遠心分離機にかけるのは1回のみだそうで、これも糖度や質にこだわる高橋さんならではのこだわりなのです。純度が高く、糖度も80度ほどあるはちみつは、もちろん非加熱・無添加。驚くほどクリアな色とお味です。
こちらは、巣鴨養蜂園さんの’巣蜜(コムハニー)’。そのままかぶりつきたくなるほどに、甘いアカシアの花の香りに満ちています。最近では、このコムハニーは、はちみつ通のファンの方々に大人気だそう。都会では、なかなかお目にかかることのない巣蜜。子どもたちにとっても、目で見て楽しみ、舌で味わい、自然を感じるという素敵な体験を運ぶものだと思います。
美しく美味しいはちみつ作りの背景には、色々な苦労があります。その1つが害虫です。全国の養蜂家さんは、巣虫(蛾の幼虫)などが巣枠に卵を産みつけてしまうのを防ぐために、大変苦労しているのですが、一年を通じて巣枠を最適な状態で保管するのは、至難の業です。できるだけ薬品に頼りたくない高橋さんは、この冷凍コンテナを考案し、採蜜後の巣枠を管理しています。正しい知識・技術をお持ちなだけでなく、従来のやり方に必ずしもこだわらず、養蜂の世界に新しい風を吹き込むほどの革新的なマインドの持ち主です。
最後に、美しい養蜂場へご案内いただきました。やはり、ミツバチたちと触れ合っているときが、一番心穏やかなのでしょう、高橋さんのお顔が自然とほころびます。黒い専用シートは、どうしても毎日一定数死んでしまうミツバチたちの匂いを最小限に抑えるための、周辺の住人の方々への気づかい。ミツバチ、はちみつのプロとしての心意気と優しさを感じました。
高橋さん、お忙しいなか、半日に渡り丁寧にご対応・ご説明いただきまして、本当にありがとうございました!養蜂について、私たちとして、まだまだ学ぶべきことは多いと感じたと共に、より自然に寄り添い、本物を届けるために新しいチャレンジを厭うことのない巣鴨養蜂園さんの姿とそこから生まれる素晴らしいはちみつを、たくさんの方々に知っていただきたいと、強く思っています!
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