アカシア

はちみつの採取できる蜜源植物の中でもアカシアのはちみつはとても人気があり「はちみつの女王」と呼ばれるほどです。明治時代に日本に導入され、その時からニセアカシアのはちみつを一般的にアカシアはちみつと呼んできたそうです。アカシアの蜜はとても上質です。上品な癖のない風味で、後味がさっぱりしているので、はちみつを食べ慣れていない方でも食べやすいです。ひときわ透明度が高いのも特徴で、蜜の向こう側の風景がクリアに見えるほどです。また、アカシアは果糖が多いため、一年中結晶化して固まってしまうことがなく、寒い時期でもなめらかな食感を楽しむことができます。

リンゴ

リンゴの花は、蕾はピンクなのに咲くと白い花になる、ちょっと不思議な植物です。青森県など、リンゴの産地の東北地方などが主な産地となります。リンゴの開花期間は10日ほどと短いため、生産量が限られていて希少なはちみつです。 リンゴ畑の中にいるような気持ちになるフルーティな味わいです。口に含むとリンゴの香りが鼻を抜けます。クセはないのですが香りが豊かなので、初めて食べた方には嬉しい驚きがあるようです。

みかん

白く清楚で甘美な香りのみかんの花は、4月～5月にかけて品種ごとに次々と開花します。ほんのわずかな間しか咲かないため、採蜜量は多くありません。 また、年によっては梅雨の時期と重なってしまうこともあるので、流通させるのに十分な量のはちみつを採蜜するのはとても大変です。そのため、みかん蜂蜜は、希少価値の高いはちみつと言われています。 みかん蜂蜜の色は、果実の色にも似たオレンジ色で、爽やかな風味です。しつこい甘さが残ることなく、後味がスッキリとしているのも、魅力です。

栗

栗の花は特徴的な形をしていて、遠目で見るとススキに似ています。白に近いクリーム色の花は、一つひとつは小さいですが、一斉にたくさんの花を咲かせ、強い香りを漂わせるため目立ちます。栗はちみつは、国内の流通量が少なく個性的な風味がするため、はちみつ通（つう）好みと言われています。

百花蜜

百花蜜は、いくつもの種類の花から集められたはちみつのことです。通常、西洋ミツバチは1つの種類の花から蜜を集める性質を持っていますが、その花の蜜の分泌が少なかったり、開花状況が悪かったりする場合は、他の花からも蜜を集めます。また、日本固有のミツバチである日本ミツバチは、その地域特有の色々な野草の花から蜜を取り、独特の風味豊かなはちみつを作ります。日本ミツバチから採られた百花蜜は非常に希少価値の高いものです。同じ養蜂家様から購入したとしても、その年によって味わいや色が全く違うのです。濃厚でいて後味がよいこと、そして黒糖のような奥深さは、共通した特長です。

菩提樹 （シナノキ、リンデン）

和名は「シナノキ」といいます。海外では「リンデン」と呼ばれ、リラックス効果のあるハーブとしてアロマテラピーやハーブティーによく使われます。日本では、東北より北の地域のみで採取できるため、まだ多くの方には馴染みの薄いはちみつですが、ヨーロッパでは最高級のはちみつとしてとても人気があります。色はやや強めの黄色です。口に含むとスーッとした爽やかな風が鼻を抜け、ハーブ特有の香りが持続する、とても個性的なはちみつです。特に女性には、このはちみつのファンが多いです。
ドイツではこのリンデンはちみつが最高級の蜂蜜とされますし、ロシアでは風邪や咳、不眠に効く蜂蜜とされ、育ち盛りの子供にお母さんがよく食べさせています。

山桜

日本では、山桜は主に4月上旬から下旬に開花しますが、早咲き、遅咲きなどいろいろな種類があり、標高の高い軽井沢では、毎年ゴールデンウィーク明けに満開になります。花が小さく、葉と一緒に控えめに咲くのでソメイヨシノよりも地味ですが、山に自生している木々が花をつけると、日本画のような美しさです。山桜のはちみつは、華やかでありながら桜の葉の青さを感じる春の香りと上品な甘さが特長。口に含むと幸せな気持ちになる女性に人気のはちみつです。山桜が多く自生してないと、採蜜出来ないので、あまり市場には出回っていない、希少なはちみつです。ブドウ糖を多く含むため、気温が下がると結晶化しやすいですが、シャリシャリした食感も楽しいですし、ゆっくり湯煎していただくとなめらかな食感に戻ります。

マロニエ

トチノキは、フランスでは「マロニエ」と呼ばれ、パリ・シャンゼリゼ通りの街路樹にも使われています。その花は、白、黄、ピンク色をした小さな花があつまり、ソフトクリームのようなひとつの大きなかたまりとなって枝にたくさんついています。小さな花のひとつひとつは、くるんとカールした雄しべがたくさんついていて、どこか南国的な雰囲気も漂います。

トチノキからは花蜜がでて良い香りがするため、かつてはミツバチたちが好んで訪れて、たくさんのはちみつが採蜜できたそうです。しかし近年の土地開発によって森林が減少し、日本の養蜂は大きな打撃を受けました。トチの樹木は花を咲かせるまでに50年、さらに蜜を出すには10年もかかると言われるほど、長い時間をかけて育てなければならない樹木なのです。トチのはちみつが希少になってしまった理由は、ここにあります。黄金色でほんのりした酸味とコクがあるまろやかな甘さのトチはちみつは、よい香りが特徴のはちみつです。

野ばら

シューベルトの作曲で親しまれている野ばらは、沖縄県以外で日本や朝鮮半島など​​に自生する野生のバラです。万葉集にも歌われていて、古くから日本人に愛されてきたそうです。「バラ」と聞いて多くの人がイメージする幾重にも花弁が重なる姿は異なり、小ぶりの白い一重の花を咲かせます。
野ばらのはちみつは、口に含むと、優しい甘さと優雅な香りに包まれます。とてもエレガントな香りがして、リラックスした気持ちになることができます。

藤

藤の花は、薄紫色の花を多数つける美しい花として、大変人気のある植物です。日本を代表するマメ科の花木の一つで、春から初夏にかけて美しい房状の紫色や白色の花を咲かせます。
「藤色」は、藤の花からきた色名で淡い青みのある紫色です。日本女性の服色としても、古くから流行色として取り入れられています。
藤の花は蜜源としても優れていますが、蜜を分泌する年としない年の差が大きいためそのはちみつは希少です。藤の花から採れるはちみつは、太陽のように明るい色と優しいフローラルな香り、アカシアにも似た後味のすっきりさが特徴です。
ジャスミンのように甘く優しい花の豊かな香りがほんのりと漂う華やかな味わいで、人気の高いはちみつの一つです。

レンゲ

日本を代表するはちみつで、もっともポピュラーなことから蜂蜜の王様と呼ばれています。味には上品なコクがあり、舌ざわりはまろやかです。美しく淡い色合いです｡ ほんのり酸味があり、フローラルな香りがします。国内産のはちみつの中では、もっとも癖のない種類で食べやすいです。レンゲは岐阜県の県花でもあり、日本の養蜂は岐阜県が発祥地と言われています。レンゲはちみつの国内産出量も岐阜が最も多いのですが、近年は中国産のレンゲ花はちみつが市場に多く出回っています。